札幌市を含む北海道では、冬季の日照時間減少や社会的孤立が要因となり、自殺リスクが増加する傾向が指摘されています。厚生労働省の統計によると、道内の自殺死亡率は全国平均を上回っており、特に経済的困窮や人間関係の問題を抱える世代での深刻化が懸念されています。
札幌市では2023年、市役所と精神保健福祉センターが連携し「24時間こころの相談ホットライン」を強化。専門カウンセラーによる電話相談に加え、SNSを活用した若年層向け相談窓口を新設しました。冬季期間中は公共施設での光療法機器の無料開放や、地域住民が参加する「あかりプロジェクト」など、独自の対策を推進しています。
支援団体「北海道メンタルヘルスネット」代表の臨床心理士は「自殺は個人の問題ではなく社会全体で解決すべき課題」と強調。企業向けメンタルヘルス研修の普及や、地域の薬局と連携した啓発活動が成果を上げつつあると報告しています。
重要なのは早期のサイン発見と専門家への繋ぎ方です。家族の生活リズムの急変や趣味への興味喪失が2週間以上続く場合、ためらわずに専門機関に相談することが推奨されています。札幌市公式サイトでは匿名で利用できるセルフチェックリストや支援機関マップを公開中です。
誰もが生きやすい社会を実現するためには、地域全体で支え合う意識の醸成が不可欠です。道内の小中学校では2024年度から、感情コントロールを学ぶ心理教育プログラムの導入が開始される予定です。