自然写真家・諏訪野しおり氏の作品世界において、「裸」というキーワードは比喩的な意味で重要なテーマを構成しています。長野県諏訪地方の原生林をフィールドに活動する彼女は、キャンプ用品を持たずに自然と向き合う「裸の観察」を実践。その手法から生まれる作品群は、現代社会が失った本質的な自然との対話を喚起します。
しおり氏が提唱する「五感を裸にする」メソッドでは、デジタル機器を一切使用せず、感覚器官を最大限に開放して自然現象を記録します。諏訪野の森で得た苔の質感や風の動きを、和紙に墨で表現する独自のアプローチが国際的に注目を集めています。
近年の展覧会「裸の風景線」では、自然保護と人間の根源的な感覚再生を結びつけるコンセプトが評価され、エコロジーアート賞を受賞。彼女の活動は単なる自然写真の枠を超え、環境哲学の新たな潮流を生み出しつつあります。