大阪・梅田の喧騒を少しだけ離れた路地裏。女子高生たちの制服の裾が風に揺れ、スマホ画面に映るSNSと現実の境界線が曖昧になる午後3時──。
「ねえ、あのカフェの店員さん絶対声優志望だと思うんだけど」
「このビルの23階、夜になると謎の光る看板が出るって噂知ってる?」
彼女たちの会話はいつも「もしも」で始まる。JR大阪駅の時計広場で待ち合わせる時も、ヨドバシカメラの巨大広告を見上げる時も、頭の中は常に非現実的なシナリオで渦巻いている。
梅田地下街の迷路のような通路は「異世界への入り口」に早変わり。グランフロント大阪のショーウィンドウに映る自分を「別人格の存在」と妄想する。阪急三番街の雑貨屋で触れた小物が「魔法のアイテム」に見えてくる。
「このエスカレーター、実は時間移動装置なんじゃ…」
「あのビジネスマンの鞄、中身は絶対秘密文書よ」
現実と空想の狭間で輝く女子高生たちの目。彼女たちが歩く毎日は、誰にも気づかれない物語の連続だ。梅田の街並みがキャンバスとなり、日常の些細な出来事がファンタジーへと昇華されていく。
スマホカメラのシャッター音が、今日も新たな「妄想」の章を刻む。