【プロローグ】
深夜の図書室でうたた寝した私を目覚めさせたのは、冷たい大理石の感触だった。硝子の天井から降り注ぐ月明かり、薔薇の香り漂う謎の大広間。これは夢だと気付く間もなく、漆黒の軍服に身を包んだ銀髪の男性が右手に剣、左手に真紅のバラを持って跪いていた。

「ついに貴女を見つけた。我が魂の半身よ」

【第一章：禁断の契約】
彼は自らを「月影王国第七王子アルフェオ」と名乗り、300年間探し続けた運命の相手だと主張する。鏡のような床に映った私は、白銀のドレスに身を包み、現実ではあり得ない輝きを放っていた。しかし王子の胸元に光るペンダントが、私が14歳の時から持つ母の形見と瓜二つだった。

「この月が満ちるまでの7日間、真実の愛を証明せよ」
突然地面が揺れ、アルフェオが私を抱き寄せる。冷たい鎧越しに聞こえる鼓動が、なぜか痛ましいほど懐かしい。

【第二章：現実と夢の狭間】
目覚めると教室の机の上。でも制服用のリボンが、夢の中のバラの色に変わっている。昼休み、屋上で一人佇んでいると、風に乗って聞こえてくるのはあの深い声。

「逃がさない。たとえ次元を超えようとも」
携帯に届く謎のメッセージ、突然現れる白い梟。現実がファンタジーに侵食し始める。放課後、図書室の古書から見つかったのは月影王国滅亡の記録と、王子の似顔絵だった。

【クライマックス：真実の代償】
7日目の夜、アルフェオは崩れゆく城の中で微笑んだ。「時空を超える力は命と引き換えだ。でも悔いはない」突然すべてを理解した私は、形見のペンダントを握りしめる。300年前に別れた恋人への記憶が洪水のように蘇る。

「待って、今度は私があなたを守る番」
逆巻く魔力の渦の中で交わしたキスは、血の味がした。月が赤く染まる瞬間、二つの世界を繋ぐ扉が開かれた──

【エピローグ】
翌朝目覚めた世界で、私のデスクに置かれていたのは銀の騎士のブローチ。窓辺で羽音を立てる白い梟が、遠い空の彼方へ飛び立つのを見送りながら、制服のポケットで冷たい指輪の存在を確かめた。今度は絶対に離さない、たとえこの物語が悲劇だと知っていても。

（全12,000字の本編では、現代とファンタジー世界の二重生活、敵対勢力との戦い、過去生の記憶など、さらに深い人間ドラマが展開されます）