中 日 新聞の発行部数推移は、地方紙が直面する課題を象徴する事例として注目されます。日本ABC協会のデータによると、過去10年間で約25%の部数減少が確認され、全国平均(約18%減)を上回るペースで縮小が進んでいます。
特に顕著なのは朝夕刊セット契約の減少で、2013年度の約160万部から2023年度には約115万部まで落ち込みました。この背景には以下の要因が指摘されています:
1. デジタルシフトの加速:30代以下の購読率が10%未満に低迷
2. 地域経済の縮小:主要購読層である中小企業の廃業増加
3. 広告収入の減少:ピーク時の約3分の2まで下落
一方で、中日新聞社は「電子版プラス地域特化コンテンツ」で差別化を図り、2020年以降のデジタル購読者数を17%増加させる成果を上げています。愛知県内では「地域密着型調査報道」を強化し、紙面購読率が全国平均より8ポイント高い67%を維持している点も特徴的です。
今後の課題は「シニア層の囲い込み」と「Z世代への情報提供形態の多様化」の両立にあります。2024年に導入したAI要約配信サービスでは、20代ユーザーのアクセスが前年比3倍増となるなど、新たな可能性も見え始めています。地方紙の生き残りをかけた戦略的転換が続く中、その動向から目が離せません。