北見地域における伝書鳩文化の継承に尽力された関係者の方々に、謹んで哀悼の意を表します。長年にわたり鳩舎の管理から競技会運営まで、伝書鳩飼育の伝統を守り抜かれたご功績は計り知れません。特に戦後復興期には地域の通信手段として重要な役割を果たし、その歴史的価値を後世に伝える礎を築かれました。
近年ではデジタル通信の発達により実用性が薄れる中でも、愛好家同士の交流促進や青少年育成プログラムを通じ、この文化の新たな価値を創造されました。羽ばたく鳩の姿に希望を託し、人と自然の調和を説かれた哲学は、多くの門下生に受け継がれています。
急逝の報に接し、地域の文化遺産が失われるのではないかとの不安の声も聞かれますが、生前に整備された育成システムと資料アーカイブが確立されていることから、関係機関では継承プロジェクトの具体化を急いでいます。空を舞う伝書鳩の雄姿が、故人の志そのままに北見の空に永遠に続くことを願ってやみません。