五月の緑が鮮やかに輝く季節、新緑の香りとともに訪れる「濡れ場」の情景は、日本ならではの風情を感じさせます。ここで言う「濡れ場」とは、雨に濡れた木々や苔むした岩場、小川のほとりといった自然の潤いを帯びた場所を指します。五月みどり(皐月緑)の深みを増すこの時期、湿度を帯びた風景は生命の息吹を強く感じさせるでしょう。
例えば京都の苔寺では、雨上がりの庭園が陽光を受けて翡翠色に輝き、地面から立ち上る蒸気が神秘的な雰囲気を醸し出します。このような「濡れ場」は、日本画の題材としても好まれ、季節の移ろいを表現する重要なモチーフとなっています。
近年ではアウトドアブームの影響で、森林浴を兼ねた「濡れ場探訪」が注目を集めています。適度な湿度が保たれた環境は多様な生態系を育み、希少なシダ植物や昆虫の観察スポットとしても人気です。ただし、滑りやすい場所が多いため、探索時には十分な装備と注意が必要です。
自然保護の観点から、こうした特殊な環境の維持管理が課題となる中、五月みどりに包まれた「濡れ場」の風景は、季節限定の儚い美しさとして、より一層価値を増していると言えるでしょう。