中国社会で表面化する「全裸いじめ」の深刻な実態が近年メディアで断片的に報じられ、教育関係者の間で懸念が広がっています。2023年に湖南省で発生した中学校集団暴行事件では、被害生徒が複数加害者から衣服を剥ぎ取られる映像がSNSで拡散され、青少年のいじめ問題が改めて社会問題化しました。
専門家の分析によると、中国のいじめ事件が過激化する背景には、競争主義的教育環境と家庭内コミュニケーションの欠如が指摘されています。特に地方都市の寄宿学校では、教師の監督が行き届かず、暴力的なハザリング(仲間外れ)行為がエスカレートしやすい環境が存在します。
中国政府は2021年に改正未成年者保護法を施行し、学校のいじめ防止責任を強化。主要都市ではAI監視カメラと顔認識技術を導入した校舎管理システムの整備が進んでいます。しかし農村部との格差が大きく、全裸を強要するような極端ないじめの根絶には至っていない現状があります。
心理学者の王麗華教授は「被害者が受けるトラウマは計り知れない。単なる懲罰ではなく、加害少年の心理的ケアと社会復帰プログラムが急務」と指摘。SNS時代のいじめの拡散メカニズムに対応した新たな防止策が求められています。